心機一転

新・私の独り言


取りあえず復活

日の長き、夏ともなれば、

君は歌の心をさとらん。

秋が来て、木の葉黄ばめば

筆取りて、そを書きしるせ

−ルーイス・キャロル−

「鏡の国のアリス」より


50年ぶりのルートで四本松に行った


presented by Kohei Saeki

 1960年の冬、丸穂の三度桜からのコースで四本松、尻割山に行ったことがあった。それ以来この道を上がったことがなかった。
 今は三度桜は枯れてしまったらしい。50年前には丸山公園などなかったから、このタイトルに偽りあり、と言うことになるけれど、まあお許しを請う。
 友人がトレーニングに丸山からこの道を歩くと聞いていたので、ちょっと歩いてみたくなった。と言うことで9月10日の午後、突然歩いた。なにぶん思いつきで歩き始めたために、基礎的な装備はほとんどなく、水を500mlのペットボトルに2本持っていただけだった。雨具も懐中電灯も非常食も地図もコンパスも持って居なかったという非常に駄目出しだらけであった。おまけにかかとにはサポーターも付けていなかった。我ながら最悪の状態であった。

 有酸素運動は久し振りなので、足が疲れる前に呼吸気管が根を上げた。丸山公園に車を停めて歩き始めたが、上の地図で野川分岐の近くで第一回目の休憩をとった。

 ほとんど記憶のない道だったが、このような標識があることは心強いが、逆に迷いそうな何カ所かの場所に無かったことは心細かった。特に下りは間違わないように細心の注意を払った。

 この近くで高齢のご婦人が二人下りてきた。四本松までのルートのどのくらいの位置を歩いているのか知りたかったが、まだ半分も来ていないと言うことだった。(しばらく歩くと上記地図の「八本松」に丸山から2.8km、四本松まで0.8kmの表示があり、ようやく全体の位置が判った)

・四本松は一般的な読み方では「よんほんまつ」だが、宇和島の私の回りでは「しほんまつ」と呼ぶ。おそらく宇和島ではみんな「しほんまつ」と呼んでいると思う。方言辞典に載せるほどではないだろう。


 いきなりこんな林道が現れて驚いた。帰ってから地図を見ると、昔ムラカミさんと登山道を自転車を押して上がった時に通った道が広くなっていたようだ。随分と昔の事なので記憶が交錯していた。


 これを見てようやく全体が判ったが、ここから先の0.8kmの長かったこと。おまけに勾配がしんどかった。

 本来の道は上記写真の左の窪んだところのようだが、歩きにくいために自然と上の道になったものと思われる。このような道は往々にしてある。

 これは逃れようがないので仕方なく足の幅しかない溝を歩いた。

 明るい尾根道に出ると、何となく四本松に近づいたような気分になるが、それはたんなる山のいたずら。

 何度も淡い期待を打ち砕かれては、今度こそ、という一縷の望みにすがる。


 ようやく看板が目に入った。「着いたどー」と叫ぶ気力もない。

 昔はここに大きな看板とベンチが置かれていた。野川登山口から登ってきたハイカーはここで一休みしながら宇和島の景色を一望にし、滑床に向かう人は町の姿にしばしの別れを告げた。今野川から滑床に向かう道は荒れ果ててしまった。
 昔だったら単なる通過点でしかない標高721mの四本松。それでも老人のトレーニングには良いのかもしれない。

 高校生の頃は野川登山口から四本松までの目安としてザックを背負って約1時間、滑床、三本まで約3時間を基準にしていたように思う。

 愚かな私は還暦を過ぎてた今でもそれを基準としてしまい、何時もオーバーペースになり、ばててしまうのである。

 下りは右足をかばいながら歩いたため、膝が痛くなった。丸山に近くなった地点で残っていた500mlの水を飲み干した。全身汗でずぶ濡れになっていた。帰ってから時間を整理しようと思ったが、どうも私の記憶とデジカメのタイマーがずれている。
 幸いにもこの時携帯で撮った写真があったので確認したら15分ずれていたことが判った。それにしても早い人が居るものだ。途中出会った老婦人の話では丸山から35分で四本松まで登る人が居るらしい。マラソンである。そう言えば今でもあるのかも知れないが、静岡県の海岸から富士山頂までの過酷なレースがあると聞いた。

32年の写真にかすかに看板の名残がある。映っているのは誰なのであろうか。栗本慎一郎かと思ったら知人のコフさんだった。この帰りに何が待っているのか、この時には知る由もなかった。多分時期は1980年の1月頃だったと思うが、現在と昔と道の違いが分かるだろうか。

コフさんの恥を忍んで問わず語り。

ほうよ、なし。あの時は早よー帰れる、思うて、ラーメンは持って行ったけんどが、懐中電池を持って行くのを忘れたんよなー。あれは恥で。命の水でラーメン作って、帰る時にはちぃと暗ろうなりよったんよ。ほんで、ここから野川の来た道を帰ろうか、三度桜回って帰ろうか、迷うたんやけんどが、知らん道もええかも知れん思うてから、尾根を丸穂の方に下りたんよ。駅で汽車が汽笛を鳴らせよったのを覚えとらえ。
そがいしよったらだんだん暗ろうなってからな。道が見えんようになって、嫁も子供も恐かったと思うぜ。道知っとるのはワシしかおらんもんな。何とか下までたどり着いた時はホッとしたてや。家から登山口までは元気ように歩いて行ったけんどが、帰るときはもーグロッキーよ。天神校の下の電話ボックスからタクシー呼んで家に帰ったけんどが、あんな無様なことはもーできんな。子供らには恐い思いをさせた事を未だに悔やんどる。
 ほーほー、帰るときに次男の黄色い長靴の片っ方を山ん中に落としてきたと思うけん、見つけたら連絡やんなせや。

コフさん談でした。


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