心機一転

新・私の独り言


山で道に迷う

まさか!衝撃の告白

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 恥を忍んで告白する。とうとう私も山で道に迷う老人になってしまったのだ。ある晴れた休日の出来事だった。
 何事もなく生きて帰ったので笑い話、死んだり怪我でもすれば人はそれを「遭難」と言う。(そーなんです、と言う駄洒落はいらない)

  このところ母の病院への送迎に時間を費やすことが多く、晴れた日には空を見ては恨めしく思っていたが、2月のある休日久し振りに山に行くことにした。普段だと午後から出掛けることが多く遠くまで行くことが出来ない。この日は朝8時半に車で家を出た。前夜は星がまたたいて翌日の快晴を約束しているようだったが、翌朝出掛ける時には空はどんよりと曇っていた。(スーパー林道鹿のコル付近)

 気温はかなり低く、林道には凍結した部分もあった。ちょうど道路から上の方には霧氷のついた樹木があった。

 黒尊側に下りるとご覧のように岩がゴロゴロしている場所がある。

 沢の水も真っ白に凍っていた。

 ここからは車両の進入が出来ないので、広い道ばたに車を停めて林道を45分歩く事になる。この日行こうと思ったルートは何年か前に友人に連れて行ってもらった道であったが、この林道から山道へのとりつく場所には自信がなかった。

 林道を歩いているうちに天候は良くなった。

 何とか林道から尾根道にあがったが、この時すでにここが以前友人と上がった道なのかどうか自信がなかった。何しろ林道から上がる時点で崖のようなところをよじ登る始末。ブッシュを抜ける時にザックのポケットに入れた250mlの水を落としてしまった。この日の目的地は『串が森』で、尾根に沿って上を目指せば山頂に着くはず。登る途中ですでに道に迷った思いがした。下りに間違うと行けないので目印のテープを所々に付けていた。

 たった一度しか歩いたことがない。道らしいものがあるのだが。果たして正しいルートなのかどうか不安になったが、取りあえず上を目指した。

 当初は目黒鳥家まで行き、そこからさらに長尾の森に行く予定だったが前日友人からのアドバイスで道がきつそうなのでそれは断念した。

 大木が根こそぎ倒されている処は以前通ったような気はするのだが、この時はすでに帰りは『串が森』から尾根を直線に下山することはあきらめ、大きく時計と逆回りで『熊のコル』『八面山』『赤滝山』『広野峠』経由で帰ることを考え始めた。そう考え始めると目印のテープを付けることもしなくなった。

 テープは下る時に回収する予定だったので、無意味に木の枝にぶら下がっていることだろう。何時の日か回収するために行かなければならない。

 ここらまで上がると空が見えてきた。

 ワッセワッセと気分は楽になった。こういう道だと心も躍る。本当にお天気屋だ。

 見覚えのある立ち枯れの木

 ようやく山頂の標識が見えてきた。

 『串が森』1160m。車を降りて林道を歩き始めたのは9時45分。尾根道をよじ登り始めたのは10時半。それから2時間近くかかって12時20分に到着した。帰って友人に話したら時間のかかりすぎだと指摘された。ここはいつもは『目黒鳥家』への通過地点だが、なかなか妙味のある山だ。

 遠くに見えるのは『三本杭』。写真中央の木の下で昼食をとることにした。太陽はきれいに照っているが風が寒い。気温は1度。セーターとヤッケを着用した。前日スーパーで買ったおにぎりを食べたが硬くてまずいので一個しか食べる気にならなかった。食べながらも来た道を引き返すか、『八面山』を回って帰るかまだ決心が付かなかった。

 晴天の休日にもかかわらず誰も通っていなかった。1時10分に山頂をあとにして『三本杭』の方に歩いた。少し暑かったが面倒なのでヤッケだけ脱いでセーターは着たまま歩いた。この面倒臭いというのが一番悪いことである。この時も当初は目黒鳥家まで行ってみようと思っていたので2万5千分の1の地図は松丸の一枚しか持って来なかった。それ以外に宇和島、御内、岩松の三枚が必要なコースであったのに。

 アップダウンの少ないなだらかな尾根道を北上した。

 『藤が生越え』から『熊のコル』に下った。昔だったら何でもない道だったろうに、バランスが取れにくくなった老体には谷側の転ぶのが怖ろしくて、這うようにして歩く道もあったが、どうにか『熊のコル』までたどり着いた。

 写真では穏やかそうだが、『熊のコル』あたりの尾根道は何時も強風が吹く。セーターを着ていても寒かった。

 この『熊のコル』から黒尊に下りるルートがあることは判っていたがそこを通ったのは高校時代でもう50年以上も昔のことである。そのルートは選択肢から除外していた。

 ながらかな道も『八面山』の手前で上り坂になる。『熊のコル』を過ぎたあたりで丁度昨年2月に痛めた右足のかかとが少し痛くなってきた。本来ならばサポーターを付ける予定だったが見あたらなく、ガムテープを靴下の上からがんじがらめに巻いてきたので、それ以上痛むことはなかった。

 この坂の途中で何度も小休止をした。『八面山』の山頂はすぐそこに見えてきた。

 写真の右端の尾根を通って看板の処の窪んだ『藤が生越え』から斜め左に下り左の道から上がってきた。『八面山』に着いたのは3時を回っていた。ここはこの近くでは携帯の電波の届く場所で、友人にメールをした。日は傾き始めていた。少し焦りを覚えた。

 焦りを覚えながらもまだ環境の良さにゆとりがあった。あちこち写真を撮りながら『赤滝山』に向かった。

 尾根の東には雪はないのだが西側には雪が残っていた。

 『赤滝山』に着いたのは3時40分頃だった。感覚的には八面からほんの10分くらいだと思っていたが、カメラのデータを見ると結構時間がかかっていた。

 この直後、このルートをとったことを後悔してしまった。山頂から南に下る尾根道には私が身体を凍らせるような岩場が何カ所かあったのである。少しきつい処があることは初めから判っていたが、高所恐怖症の私がただ一人で岩にしがみつきながら下りる時、心の底から後悔して、さらに遠回りになるが『八面山』まで引き返し普通の登山道を通って帰ろうかと思った程であった。

 画像では明るく見えるが木が鬱そうと茂る眺望のきかない林が続いた。この頃には余裕は消え、道を間違ってはいけないという事だけしか頭になかった。前回友人と下りた時は自然林を過ぎると人工林になっていた。今回もそれに近いパターンだったがどこか違うと感じた。

 偶然にも携帯の電波が入る地点があった。家政婦から「普段なら家に帰っている時間だが…」と電話が入った。まだ山の中で帰りは少し遅くなるが場所は判っているので心配いらないと答えた。答えながらも道を間違っている事が判った。ようやく景色の見える場所に出た時、南西に尾根道を下りなければならない処をそのまま南に下ってしまさか!と衝撃が走った。下りる筈だった『広野峠』は二つ尾根を越した西のほうに霞んで見えた。そこまでずれていたことに驚いた。まだ日は明るかったが万一に備えて用意していたヘッドランプを取り出して頭に付けた。

 下ってきた道を引き返しながら西にトラバースする場所を探していたら、天の助けか画像の小道に出会った。これを最後の写真にしてシャッターを切るとそれまで首に下げていたカメラをザックにしまった。家から持ってきたコープのトマトジュース900gも飲み干し、ひたすら歩くことに専念した。

 小道を歩くこと約20分でスーパー林道に出ることが出来た。『広野峠』より数百メートル下がったところだった。時刻は午後4時半だった。そこから55分とぼとぼと車を停めたところまで歩いた。車に乗ったのは午後五時半だった。下りる途中で一台愛媛ナンバーの乗用車に出会っただけだった。不味いおにぎり一個とキットカット、黒豆せんべい少々しか食べていなかったが、それほど空腹感はなかった。携帯コンロを持って行ったがコーヒーを飲むゆとりなどはなかった。午前9時半から午後五時半まで、昼食で40分休んだだけでほぼ7時間歩き通しだった。

 今回の山歩きは天候には恵まれたが、まさに敗北であった。恥を覚えなければならない。帰宅した時にはもう二度と一人で行かない事と家政婦に戒められた。私も納得した。

 本日の反省

1 地図を持って行かなかった。

2 地図以外にも忘れ物が多かった。一度家を出てから目薬を入   れたウエストバッグを忘れて引き返したが、タオルを忘れてしま  った。

3 他にも一杯

 一番の問題点は『赤滝山』から『広野峠」に下るには尾根を南西に下りなければいけないのに、崖を迂回した時に尾根を間違ったらしい。

  若い人はご存じないかも知れないが森田公一とトップギャランのヒット曲に「青春時代」というのがある。その歌詞に「…青春時代の真ん中は道に迷っているばかり…」というフレーズがある。ああ、もう青春時代はとっくに過ぎたのに、私はまだ道に迷っているばかりだ。

 当日の収穫

これはリスがかじった松ぼっくりである。スーパー林道を車のところまで帰る途中、道路上に沢山落ちていた。

 帰宅してしばらくは本当に再挑戦など考えてもいなかった。しかしのど元過ぎればなんとやらで、特に地図を眺めていると無性に間違った場所を確認したくなった。
 ところが帰って間もなくしてダニが媒介するSFTSウィルスで三人の死亡例が確認されたというニュースが流れた。しかもそのうちの一人は愛媛県だと言う。実は私も過去に二回山に行った後でダニに咬まれていた経験があった。いずれもヤブコギした時で心当たりがある。春から秋にかけて咬まれることが多いらしいので、考えてしまう。

参考地図

 上の地図はあくまでも個人の感想です。

初めての人には赤滝山へは八面山からの往復を勧める。間違っても広野峠へは下りることは避けた方が良い。


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