新・地名考・6 葛川の謎


  

 宇和島から国道320号線を日吉に向かう道沿いに「田舎スーパ

ー・くずかわ」という店がある。この店で数年前に友人から教えても

らった一パック450円の「サバ寿司」は絶妙の味で、時々立ち寄っ

ては買っている。

 今回はサバ寿司とは無関係なのだが、私はここら辺りの地名は

クズカワと呼ぶものだとばかり思っていた。ところが前にも書いた大

正5年に陸軍測量部から出された地図には葛川という文字のよこ

にツヾラカワとルビがうってあった。これに気が付いたのは本当に

偶然であった。地図に記された昔の地名を眺めていたら、それが

目に付いた。わざわざルビをうっているくらいだからやはり難読地

名の部類に入るのだろう。しかしクズカワとも呼ばれていることは店

舗の名前からも推測できる。正しい呼び方は何だろう。

 例によって私の好奇心がムラムラとわき上がってきた。まず主管

の鬼北町役場に電話で問い合わせてみた。税務関係者に聞くとク

ズカワと呼んでいるという返答だった。しかしその電話の途中に土

木関係の職員がツヅラ川と呼んでいるとの話が出た。おそらくオー

プンな職場で担当者の会話が他の職員の耳に入ったのだろう。

 職員は調べてから連絡をするとのことで、こちらの連絡先を告げ

ておいた。しばらくして連絡があった。河川の名称はツヅラカワと言

う。昔の人は地名をツヅラガワと呼んでいる。その近くの住民の何

人かにある姓は全てクズカワと言っているとのことであった。

 詳しい話は三島公民館の館長がご存じかもしれないということで

三島公民館に問い合わせると、以前葛川にお住いの方を紹介さ

れ、その人から直接電話で話をうかがうことができた。

 その方からも地名はツヅラカワで、名前はクズカワだと聞いた。

 

大正5年の地図

 私はクズもツヅラも同じものだと思っていたが、広辞苑で調べると微妙に異なることが判った。

つづら【葛】 

@ツヅラフジなど、野生の蔓植物の総称。万葉集(14)「かみつけ

の安蘇山−野を広み」   (これだけ)

くず【葛】

(奈良県国栖(くず)の地名に因むという)

@マメ科の大形蔓性の多年草。山野に多く、蔓の長さは10メートル以上にも達する。葉は大きく白っぽい。秋葉脈に花穂をつけ、紫紅色の蝶形花を総状に咲かせ、花後平たい莢(さや)を生ずる。根は肥大し、生薬の葛根(かっこん)として漢方で解熱、発汗、鎮痙剤に用い、また、葛粉を採る。(以下略)

  

現在の国土地理院HPの地図

 おそらくツヅラカワと言うのが本来の地名の呼び方ではなかったか、と思う。漢字にすれば同じ文字なので言いやすいクズカワにされたのではないだろうか。これはあくまでも私の推論である。
 国土地理院の地図検索では葛川という地名は全国で36件ヒットした。これは予想していたよりも少ない数だった。まあ2万5千分の1の地図上に記載されたものである。私がうかがった方の話では松野町と高知県西土佐村(現四万十市)にも葛川という地名があるらしい。


はじめに  1 駄場 2 網代騒動記  3 宇和島について 4 宇和郡について 4 三間について

5 葛川の謎


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